シリーズ 青葉山 126  アブラゼミ 


 

 


ジー・ジリジリジリ...

ジリジリ...・クツクツ。

「夏の風物詩」アブラゼミが鳴いている。小さな体なのに、あんなに大声で鳴く秘密とは何だろうか。

 

まず、おなかの筋肉を伸び縮みさせ、それにつながる膜を上下させて音を出す。これではまだ小さい。

捕まえたセミを、太陽に透かして見たことがあるだろうか。おなかはなんと「空洞」なのだ。

小さなバイオリンをおなかにしているようなもので、その精巧な拡大装置で、1kmも離れた人間の耳に聞こえる音に"変身"する。

体長37mm。

 

(河北新報社提供 初出 1991.8.17)

 

アブラゼミ
Graptopsaltria nigrofuscata Motschulsky
セミ

アブラゼミは仙台付近で最も普通に見られるセミのひとつで、植物園内でもたくさんの抜け殻をみつけることができます。

セミの大きな鳴き声はオスがメスを呼ぶ声です。鳴き声にひかれてメスが飛来し、交尾にいたります。メスの産卵管は太く頑丈で、木(枯れ枝のことが多い)に穴を開けて材に産卵します。

アブラゼミはその生活史が比較的良く調べられています。8月に産み付けられた卵は翌年の6-7月にふ化、4-6年間幼虫として地中で過ごし、産卵から5-7年後に羽化します。羽化は夜間行われることが多いく、夕刻遅くに穴から這い出てきて7時くらいから羽化を開始、9時くらいには羽化が完了します。

晴れて気温が上がった今日、夕方近く植物園の森から聞こえてくるのはひときわ大きなミンミンゼミの声。アブラゼミの鳴き声はかき消され気味になっています。 (1998年8月21日記)