
◇発表者◇
安保 沙羅
生命・環境領域
博士研究教育院生 3 年
歯学研究科 歯科学専攻
◇学会名称◇
International Association for Dental, Oral and Craniofacial
Research (IADR), Asia–Pacific Regional Conference & Jointly
Organized with 35th Annual Conference of Indian Society for
Dental Research ,
および 第 73 回国際歯科研究学会日本部会(JADR)学術大会
◇開催地◇
ニューデリー(インド)
◇開催期間◇
2025 年 9 月 18 日 ~ 9 月 21 日
◇発表題目◇
Dental Plaque-Derived Extracellular DNA Induces Inflammatory Responses in Periodontal Tissues
◇発表内容◇
歯周病は、歯周ポケットに蓄積した細菌がプラークを形成することで歯周組織の炎症を引き起こし、周囲の歯槽骨が吸収されて歯の脱落に至る疾患である。これまで歯周病の発症はプラークが主な原因であることが報告されてきたが、プラークがどのように炎症や歯周組織の破壊を引き起こすのか、その機序は明らかとなっていない。本研究で我々は、歯周病患者のプラークから抽出した細菌由来細胞外 DNA が、エンドサイトーシスを介して免疫細胞であるマクロファージに取り込まれ、TLR9 を活性化させることで炎症性サイトカイン産生を亢進することを示した。さらにマウスを用いた実験において細菌由来細胞外 DNA が歯周組織の炎症を惹起し、破骨細胞を活性化させることで歯槽骨の吸収を促進することを明らかにした。このことから本発表では、プラークに含まれる細菌由来細胞外 DNA が歯周病の新たな発症因子となる可能性を報告した。
◇今回の発表によって得られた成果及び問題点◇
これまでの研究で歯周組織の炎症の起点は、特定の細菌が産生する酵素(ジンジパイン)や膜成分(リポ多糖)であると考えられていたが、プラークに含まれる細菌由来細胞外 DNA に着目した歯周病の発症メカニズム解明の試みは本研究が初めてであり、多くの先生方からの関心を得た。また、学会を通じて様々な研究分野の先生方と活発に議論を行うことができた。特に、炎症を引き起こす DNA の特徴についてさらなる検討が必要であるとの指摘を受け、今後の研究課題が明確になった点は大きな成果である。
◇今後の研究目標及び課題◇
今後は、歯周病患者と健常者のプラークに含まれる細菌由来細胞外 DNA を比較し、その由来細菌の違いや炎症を惹起する DNA の特徴を解析することで、歯周病の早期発見法の開発を目指す。さらに、細胞外 DNA を標的とした歯周病の予防法・治療法の確立に向けた研究を進める予定である。