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 ◆ 治療班とは
 治療班では、粒子線を用いて体内のがん細胞を死滅させる治療技術、および治療時の線量情報のモニタリング検出システムの開発研究を取り扱っています。がん治療において、患者への身体的負担は可能な限り小さくしなければなりません。粒子線治療においては、線量を腫瘍に集中させ正常部位に与えられる線量を可能な限り小さくすることが求められます。

 ◆粒子線治療の原理

 粒子線治療において、患者の身体に照射された粒子は体内に入射した後、物質原子と衝突し、相互作用を起こしながら照射方向へ進行していきます。相互作用によって物質原子は電離を起こしてイオンと電子の対を作り、その一方入射した粒子は相互作用によって運動エネルギーを失い、その進行速度は次第に小さいものとなっていきます。減速していくに従い、粒子と物質原子との相互作用の割合は大きくなっていき、粒子が停止する直前には、そのエネルギー損失は非常に大きな値となります。この荷電粒子の進行距離と相互作用によるエネルギー損との関係を表したものをブラッグ曲線といい、曲線の極大部分をブラッグピークといいます。ブラッグピークを迎えた粒子はその直後に停止し、エネルギー損失は急激に低下します。このような性質から、ブラッグピークを腫瘍の深さに一致させることで腫瘍に対して選択的に高線量を付与することが出来ます。

 ◆研究内容の紹介

 また、粒子線治療を行うにあたっては、照射されるビームの線量情報をリアルタイムでモニタリングするビームモニタが必要となります。これを満たすものとして、高い検出効率、および高精度の位置検出能力 を持った放射線検出器が要求されており、治療班ではこの検出器の開発も取り扱っています。研究によって制作した検出器に、実際の治療現場を再現した環境において粒子線を照射し、その線量情報のリアルタイムでの取得が可能となることを目的として実験を行っています。これらの研究を進めていくことで、放射線治療においてより患者への負担の小さい治療が実現されることを信じ、私たちは日々研究に取り組んでおります

東北大学CYRIC AVF930サイクロトロン   
 
水平照射型粒子線治療システム