東北大学 大学院工学研究科|菊池研究室

X線CTや画像化支援手術(カテーテル手術)、生体機能画像を取得するPET(陽電子断層画像撮影法)などの放射線や量子ビームを活用した医用画像技術の研究開発を行っています。

TOP|菊池研究室(量子生体計測分野)


菊池研究室は、2025年5月にスタートした新しい研究室です。X線CT画像化支援手術(カテーテル手術)、生体機能画像を取得するPET(陽電子断層画像撮影法)などの放射線や量子ビームを活用した医用画像技術の研究開発を行っています。

 

医用画像=現代医療には不可欠なツール

 W.レントゲン博士のX線の発見は医療を一変させました。レントゲン写真などの医用画像を用いた診断・「画像診断」の登場によって「百聞は一見に如かず」の診断が可能となり、医療画像は現代医療に不可欠なものとなっています。診断は治療方針を決定するための重要なプロセスですが、逆に言えば、「医用画像が無ければ、治療方針が決まらない=治療が始まらない」のが現代医療です。
 また、診断のみならず治療においても医用画像の重要度は一層増しています。患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)の確保や高齢化が進む現代社会においては、より低侵襲な治療方法が求められます。切らずに治す手術・画像支援下手術(インターベンショナル・ラジオロジー(IVR))の実施件数は年々増加傾向にあります。

 

より高度な医用画像技術を構築のため、本研究室では次の2つのアプローチを重要と考えています。

 

アプローチ①:システムとしての理解に基づく技術開発
アプローチ②:学際的な視点からの技術の評価/最適化

 

システム=「ハードウェア」+「ソフトウェア」


「システム」とは、ある1つの目的達成のために複数要素で構成されるものを指します。医用画像システムを考えた場合、その構成要素はハードウェアとソフトウェアに分類でき、これらが一体となって動いた結果がシステムの性能となります。ハードウェア技術の例としては放射線センサー、ソフトウェア技術に関してはAIを含む画像処理プログラムなどが挙げられます。当然ながら、これらの開発に必要な知識は異なる点が多いですが、システムとしての性能の最大化には、量子現象についての基本的な理解に加えて、ハードウェアを理解したうえでのソフトの開発、また、その逆が効果的な場合があります。特に、挑戦的な性能の達成にはハード+ソフト両面を考慮した開発が必須となります。

 

学際的視点:「医工学」×「脳科学・心理学」


開発された技術の実用上の良し悪しについての的確な評価が行えるのは、あくまで臨床現場での医療従事者の方たちによる実際の利用が行われている段階においてです。そして、このような段階で生じる細かな使いにくさや不都合は医工学者が技術を開発している段階ではなかなか顕在化しません。この不顕在な不具合を含んだ状態で臨床の実務が行われることは医療事故・過誤の潜在的なリスクとなりえるため、医工学連携による技術開発においては作り手(医工学者)-使い手(医師等)の間の意思疎通が極めて重要です。その一方で、互いの知識基盤の違いや実務経験の有無が存在する医工連携には多くの課題があり、これらを埋める決定的な解決策は見つかっていません。本研究室では、提案する開発技術を使用中の医療従事者の生体計測情報(脳活動や眼球運動など)に基づいて彼らの「思考」や「行動」を実測することでこの問題の解決を目指しています。

 

Access/Contact

Place: 青葉山キャンパス/機械知能系共同棟(A15) 203号室
Phone: +81-22-795-7933