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まなびの環境 Campus Environment自然の恵みを感じる場所 附属薬用植物園

2023.7.23 更新


薬用植物とは―

「薬用植物」と聞くと普段馴染みがなく珍しいものを想像するかもしれません。確かに現在、漢方薬に配合されている生薬の原料は海外から輸入しているものが多くあります。しかし日本でも古くから民間療法として身近な植物が利用されてきました。

そんな数多くの植物をそのまま、あるいは簡単な加工や有効成分を抽出するなどして用いられる植物の総称が薬用植物とされています。

自然と触れ合いながら薬と健康を学べる場所、それが薬用植物園です。
医療の場で使用される全処方の約25%が何らかのかたちで植物に関連しています。
薬学研究科附属薬用植物園では、さまざまな薬用植物を育てていて、その利用法や栽培の様子を五感で学べる場を提供しています。

薬学研究科附属薬用植物園の歴史

1969年、医学部薬学科の星陵地区から青葉山地区への移転と同時に薬用植物を集め、栽培保存する場所が造成され、のちに1棟の温室(180㎡)が設置されました。
1974年には、薬学教育や研究施設としての役割を果たすため「薬学部附属薬用植物園」(52,956㎡)となりました。1980年には、薬用植物園の管理業務と研究活動のために管理棟が設置され、1998年には温室が改築されました。その後、学部主体の体制から大学院における教育研究に主体をおく体制(大学院重点化)への移行に伴い、本園は2000年4月から大学院薬学研究科の附属施設となりました。薬用植物園は、50年間にわたって薬学教育、研究施設として重要な役割を担ってきました。
現在は、新しい時代を見据えて圃場の美化や環境整備、業務効率化の一環で解説のQRコード化や栽培方法のデータ化、重要植物の栽培比率向上を目指しています。

現在
昭和50年

大学の薬用植物園としては全国一の広さ

市街地からほど近い青葉山の自然あふれる環境に造られた薬用植物園は、実際に手に取って観察できる自然薬用植物園の形態をとっています。園内にいくつかの観察路を設けていて、観察しやすいように標本栽培区、資料保存区、自然植生観察区に分類しています。世界の珍しい植物も温室内を中心に栽培しているほか、日本において重要な薬用植物である「ムラサキ」、「トリカブト」、「カノコソウ」、「オケラ」も重点的に栽培しています。
これらを総合した生物多様性を本園全体が担っており、植物を中心に動物や昆虫類まで多様な生態系・環境が構築されています。また、大学の薬用植物園としては全国一の広さを有しており、薬用植物をはじめ約1,200種の植物を観察できます。

観察路
自然薬用植物園の形態で夏季は新緑の空間
ウェルカムガーデン
来園者の皆様をお迎えする色とりどりの花で彩られています。

園内の薬用植物

ムラサキ(ムラサキ科)
生薬名は紫根で根を利用し紫雲膏などの漢方方剤に外用薬として配合される。紫色の染料としても用いられる。絶滅危惧種に指定されている。
キハダ(ミカン科)
生薬名は黄柏で健胃、消炎などの作用があり漢方薬をはじめ多くの薬に配合されている。鮮やかな黄色は染料にも用いられる。
オクトリカブト(キンポウゲ科)
トリカブトは日本三大毒草の一つとして知られているが、子根を減毒することにより製した生薬「附子」は漢方において必要不可欠な重要生薬となっている。
カノコソウ(スイカズラ科)
生薬名は吉草根で根茎を利用し、鎮静薬として精神不安定やヒステリーに用いる。花や根は不思議な芳香を持つ。
漢方薬「黄連解毒湯」に配合される生薬
(左)黄連、(真ん中)黄芩、(右)黄柏、(中央上)山梔子
皮膚のかゆみや二日酔いに用いられる。
温室 熱帯・亜熱帯植物を観察できる大型ガラス温室

見頃の花や植物園の様子などインスタグラムにて定期的に更新しておりますのでぜひご覧ください。

~一般公開について~

自然薬用植物園の形態をとっていることから、近年薬用植物園内及び周辺にてイノシシを始めとする野生動物の目撃情報や被害が多数確認されており、現在一般の方への公開は行っていません。残念ながら当面再開の目途は立っておりません。来園者の安全を確保することが難しいことからご理解ください。現在見学は教職員、学生等関係者で研究・教育目的に限定させて頂いております。事前に必ずご相談・ご予約の上ご利用ください。

現在一般開放は行っておりませんが、平日は関係者向けに一部区画を開放しております。自然豊かな環境ですので、植物の観察だけではなく、気分転換や昆虫採集を目的にいらっしゃる方もいます。北青葉山キャンパスの秘境の地へ是非足を運んでみてください。

関連リンク:薬学研究科・薬学部 附属薬用植物園

PROFILE

薬学研究科附属薬用植物園
技術一般職員
大沼翼(右) 佐伯健人(左)

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