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同窓の広場 Alumni Interviews東北大学全学女子校友会「紫蘭会(しらんかい)」が発足。初代会長に聞く。

2024.5.17 更新


2023年9月30日に開かれた「東北大学116周年ホームカミングデー ~女子大生誕生110周年・文系女子大生誕生100周年記念式典・記念プログラム」で、東北大学の全学女子校友会「紫蘭会」が正式発足の報告を行いました。そこで会の発起人であり初代会長になった前仙台市長の奥山恵美子さん(1974年経済学部卒)に、会の発足の経緯や今後の活動についてお話をおうかがいしました。

女子大生誕生110周年を機に、卒業生が気軽に集える場をつくりたい

「紫蘭会」は、昨年発足したばかりの東北大学の全学女子校友会です。発足のキッカケはコロナ禍の時に立ち上がったオンライン女子会。
東北大学では毎年秋にホームカミングデーを開催していますが、コロナで自粛を余儀なくされた数年は、校友会組織である萩友会の方でもいろいろと工夫してくださって、学部や学科ごとにオンラインミーティングを企画して参加グループを募っていました。
そんな時、在仙の同窓生から「女子のグループもあったらいいよね」という話が出て、女子会のオンラインが立ち上がり、私も卒業生の一人として参加させていただいたわけです。
集まったのは30人ぐらいだったでしょうか。東京とか静岡とか、いろいろなところで活躍していらっしゃる女子の卒業生の方が参加してくださいました。

その時に、こうやって学部にとらわれずに女性が集まって話をするのは楽しいなぁと思ったのと共に、自分と近い年代のOGの活躍はなんとなく伝わってきても、上下5年くらい離れてしまうと、誰が何をしていらっしゃるかわからない、ということも感じました。
実際、そのとき参加してくださったみなさんも、ユニークな活躍をしている方がたくさんいらっしゃったのですが、お互いそれを知る場がない。
そこで、何かしらそういう女性たちが繋がって、その活躍に触れる場があればいいのにという話がオンライン仲間から出てきました。
たまたま昨年(2023年)は東北大学で日本初の女子大生が誕生して110年。大学としてもそこに力を入れて取り組まれるらしい…。そこでこのチャンスに萩友会の中の女子部のような感じで、女子同窓会をつくったら、これは楽しい集まりになるんじゃない!という、気分はほとんどサークル活動のノリで、女子部を立ち上げることになったというわけです(笑)。

「東北大学116周年ホームカミングデー」にて、紫蘭会の発足を報告する会長の奥山恵美子さん(左)と、会の発足のキッカケとなったオンライン女子会を主宰していた発起人(チーフ・サポーター)の白川由利枝さん

東北大学とご縁のある女性であれば、卒業生でなくてもウェルカム

メンバーは基本的に東北大学を卒業したOGが中心になるとは思いますが、例えば教壇に立たれていた女性の先生や職員の方々をはじめ、卒業生にこだわらず、研究生やプロジェクトメンバーなど、東北大と何がしかのご縁があれば…というように考えています。
運営に関しても、地位や肩書にとらわれずに。子どもが小さいうちは自分の時間を作るのも難しいので、子育てを卒業した人で、やれる人を中心にやっていこうというような、女性らしい平場の感覚で、ゆるゆるとやっていけたらと思っています。

紫蘭会のマーク。日本初の女子大生となった三人を象徴する3輪の紫蘭が寄り添うように咲く様子をデザイン。紫蘭会の名称は、初の女子大生誕生からしばらく経って、ある程度の人数の女性が入学するようになった1930年代頃にあった、同音異字の女子大生の会「芝蘭会」にあやかり、「芝」の字を現在のユニバーシティカラーの「紫」に変えて命名

OGのみなさんの活躍を発信し、つながるキッカケをつくっていく

立ち上がったばかりで具体的な活動はこれからですが、まずは各界で活躍されているOGの方にお声がけして、講演会やシンポジウムみたいなものを企画していけたらと思っています。それを毎年ホームページにアーカイブしていって、東北大のOGにはこういう方がいらっしゃるっていうことを広く発信していく。今年はまずそういうところからはじめていきたいと思います。
将来的には、歴代OGの方々の業績の発掘にも取り組んでいきたいですね。
先輩方の中には、まだ女性の制約が大きかった時代に日本初の女子大生になったお三方だけではなく、様々なフロンティアを開拓された方がたくさんおいでになったはず。それは東北大を卒業した女子学生の大きな役割でもあり成果でもあったと思います。
そこで私たち後輩がお互いに知っているものを持ち寄って、改めて「東北大の女子卒業生の中にはこんなにいろいろな社会的な分野で活躍された方がいらっしゃいました」というのを発掘・発信していければ、と。
それと、若い世代を応援していけるような情報発信。「今こんなことで頑張っている」「これからこういうことで力を発揮していきたい!」そういう志を持つ若い世代のこともどんどん取り上げて、みんなで背中を押してあげることも、卒業生のネットワークを活かせばきっとできるんじゃないかと思います。
また本学を卒業された女性の中には、中国やタイをはじめ海外からの留学生も数多くいらっしゃいます。そのような方々は、卒業後、きっとその国の様々な分野のリーダーとして力を発揮してらっしゃるはず。そういう方々のご活躍にも光を当てて繋がっていければいいですね。

つながることで、そこからきっと新しい何かが生まれてくる

東北大を卒業したみなさんの心の内には、この大学で学んだからこそ育まれてきた“志”のようなものがあると思うんです。それは別に大きなことでなくても、社会のここをもう少し良くしていきたいとか、もうちょっと女性が働きやすくなるように頑張りたいとか。
そういった一人ひとりが持っている志の断片をひとつの皿に載せてみると、志の塊っぽいものができてくる。それは東北大学にとっても、これからの社会にとっても、きっと意味のあることになるんじゃないかと思っています。
「紫蘭会」がそんな“受け皿”になり、日本で初めて女子大生を生んだ「門戸開放」の精神と、女性らしい柔軟な感性で、世代を超え、国を超え、OGのネットワークを広げて行けるよう、わたしも及ばずながら頑張っていきたいと思っています。
そのためにも、まずはみなさんに「紫蘭会」という会の存在を知っていただくことが第一歩。女性は何より口コミが強いので、この記事をご覧いただいているOGの方は、ぜひとも情報の拡散・シェアをお願いします!

東北大学女子校友会紫蘭会

PROFILE

奥山恵美子さん

2023年に発足した東北大学全学女子校友会「紫蘭会」の発起人及び初代会長。1974年東北大学経済学部卒業。‘75年に仙台市職員に採用後、数々の要職を経て、2009年7月の仙台市長選挙に立候補し当選。全国の政令指定都市初の女性市長となる。2011年に起きた東日本大震災では復旧・復興に尽力。その後2017年まで2期にわたり市長の重責を務めた。

取材・原稿/泉 英和
写真/齋藤 太一

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