東北大学生活環境早期復旧技術研究センター

丸ごと検査の詳細

はじめに

 食品の放射能検査は、一般的には食品の可食部を細かく刻んで(ミンチ状にして)専用の容器に一定の量まで隙間なく詰めることにより行います。

 福島市で放射能検査をする場合も、上記の方法に従って検査をするため、市民の皆様には細かく刻んだ食品の可食部(福島市では1キログラム)を事前にご用意していただくことをお願いしています。しかしながら、この場合、米、豆などの穀類、牛乳などの液体の場合は、測定後も食することができますが、野菜、果物はミンチ状にしてしまうため、ゴミと化して食べられません。

 そこで、東北大学は市民の皆様が検査した食材、それ自身を料理に直接に使えるように、食品の放射能をマルゴト検査するサービスを開始することといたしました。

 ただし、東北大学が行う今回の放射能検査も、福島市が行うこれまで行っている放射能検査も、どちらにも長所と短所があります。どちらで放射能検査を行うかは係員とご相談のうえ、決めていただく必要があります。

一般的な放射能検査の手順と特徴

測定器の名称: ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器

検出下限値 20ベクレル/kg (食品) 
10ベクレル/kg (飲料水)

  • 再測定に備えて、翌日以降の結果のお知らせを原則とする。食品に付着した土や不純物の影響を排除できる。
  • 食品の前処理が持込者の負担となる。

東北大学の放射能検査の手順と特徴

測定器の名称: バリウムフロライドシンチレーション検出器

検出下限値 25ベクレル/kg (一般食品のみ)

  • 持ち込みから結果のお知らせまでの応対時間は短くて済む。すなわち測定してOKが出た食品はその日のうちに食べれる。
  • すべての食品がマルゴト検査できるとは限らないので、事前に係り員と相談する必要がある。

放射能の計算方法

セシウム濃度がわかっている様々な食品について
 【1】形の違いによる調査
 【2】材質の違いによる調査
を行って、下記の換算曲線(校正係数)を得た。

セシウム濃度が異なるいくつかの食材について、ミンチ状にして測定したものとマルゴト測定したものとの整合性を調べたところ、下図に示すように、比例関係が得られた。

←食品の重さとセシウム濃度の関係

この換算曲線と下記の式を用いて、セシウム濃度を算出する。

ベクレル/kg=校正係数×放射線のカウント数

注意:
但し、この式が適用できるのは、試料中の放射性物質が一様に分布している場合です。
 このため、東北大学が開発した装置は、7個の検出器を用いて、試料の放射性物質の分布を測定しています。試料の一部が100Bq/kgを大きく超えていても、平均すると100Bq/kg以下を出力する場合があります。東北大の装置は、この場合、100Bq/kg以下でもNGを出すようになっており、利用者に安心を与えるようになっております。 さらに、この場合、どの部分が放射能が高いか装置が表示しますので、その部分を取り除いて、もう一度検査できるようになっており、基準値以下の部分を無駄にしないで食すことができるようになっております。

注意点

販売用の証明書について

東北大学は福島市と同様、食品衛生法上の登録検査機関ではありません。測定結果を販売用の証明書として使用することができないことをあらかじめご了承願います。

予約申し込みについて

測定器は1台のみなので、何らかのトラブルが発生して測定を行うことができなくなった場合、市民の皆様には多大なご迷惑をおかけすることになります。したがって、測定の予約は原則、当日分のみとさせていただきます。

測定する食品について

家庭菜園で採れたもの、山菜などは、汚染土壌が着いている場合がありますので、水道水で良く洗って持ってきてください。

お知らせ