平坦バンド強磁性体における量子ホール効果

平坦バンド強磁性体における量子ホール効果

 カゴメ格子上の単一バンドハバード模型の基底状態は、電子が平坦バンドを半数占有する場合、強磁性であることが厳密に知られている。我々は、この状態に、平均値がゼロの空間変調を持つ内部磁場を導入すると(図1)、系は量子ホール液体となることを示した(図2)。本模型は、グラフィンにおいて実験的検証がなされたパリティーアノマリーを示す模型の第二例目となっている。

図1: 変調磁場を導入したカゴメ格子。単位格子を点線で示した。 

図2: カゴメ格子上の強束縛モデルのバンド構造。(左) 磁場が無い場合は、平坦バンドが現れる。これは、カゴメ格子が蜂の巣格子のライングラフである事の反映である。(右) 磁場が有限となると、バンド間にギャップが開く。バンドフィリングが適当である場合、系は量子ホール液体となる。チャーン数は、上下のバンドが±1、中間のバンドが0である。


<参照文献>

  1. “Spin anisotropy and quantum Hall effect in the kagome lattice: Chiral spin state based on a ferromagnet”K. Ohgushi, S. Murakami, N. Nagaosa, Phys. Rev. B 62, R6065 (2000).