科学研究費補助金 基盤研究(B) に関する報告
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ここでは,平成24年度に採択された,科学研究費補助金 基盤研究(B)
課題名「ハイブリッドピーニングの構築と水素脆化抑止への展開」
に関する報告を掲載しています。
課題名:ハイブリッドピーニングの構築と水素脆化抑止への展開
課題番号:24360040
研究期間:平成24年4月〜平成27年3月
研究組織:代表者: 祖山 均 東北大学大学院工学研究科 教授
分担者: 青柳 吉輝 東北大学大学院工学研究科 准教授
分担者: 伊賀 由佳 東北大学流体科学研究所 准教授
分担者: 高桑 脩 東北大学大学院工学研究科 助教
研究目的:
本研究の目的は,安全・安心な社会の実現を目途として,機器・構造物の機械的特性を向上させるために,
研究代表者が研究してきたキャビテーションピーニングCP,従来のショットピーニングSPやレーザピーニングLP等の
異なるピーニングを組合せたハイブリッドピーニングHPの構築を目的とする。
本研究では,(T)HP層の破壊力学的評価法の構築,(U)HPの最適化,(V)HP層の強度の支配因子の解明,
(W)HPによる水素脆化抑止法の構築,(X)HP層の簡易評価法の構築,(Y)HP層の電磁気的非破壊評価法の構築に
ついて研究を推進し,破壊力学的評価法に立脚したHPの構築と,水素社会実現に向けてHPの水素脆化抑止への展開を目指す。
平成24年度研究実績
(T)
荷重制御型平面曲げ式疲労試験機を試作して,予亀裂を付与した試験片を用いて荷重を制御して
疲労試験を実施し,試作した試験機を用いることにより,パリス則が適用できる応力拡大係数と亀裂進
展速度の関係を得ることができ,試作した試験機の妥当性を実証した。また同試験機を用いてキャビテー
ションピーニングにより亀裂進展速度を抑止できることを実証した。
(U)
試作した荷重制御型平面曲げ式疲労試験機を用いた応力漸減試験により,下限界応力拡大係数範
囲を求めることに成功した。また,未処理のステンレス鋼SUS316Lの下限界応力拡大係数範囲が,
キャビテーションピーニングにより約1.9倍に向上することを明らかにした。
(V)
水中キャビテーション噴流を用いたキャビテーションピーニングならびに気中キャビテーション
噴流を用いたキャビテーションピーニングのいずれの場合でも下限界応力拡大係数範囲を向上でき,
向上の程度がキャビテーションピーニングによる圧縮残留応力導入と相関があることを明らかにした。
(W)
キャビテーションピーニング,ショットピーニング,レーザピーニングを組み合わせたハイブリッド
ピーニングのピーニング効果向上の基礎として,個々のピーニングの強化を図った。キャビテーション
ピーニングでは,キャビテーション噴流用ノズルとして一般に市販されているノズルと,キャビテーション
噴流用に研究してきたノズルを比較検討し,キャビテーション噴流に好適なノズルのほうが加工能力が6倍程度良好であることを明らかにした。
(X)
亀裂進展速度を評価してピーニングによる水素脆化抑止を実証した。
また水素によるステンレス鋼の硬化現象を明らかにするとともに,インデンテーション試験を用いた逆問題解析を行い,
硬化には降伏応力の向上が関わっていることを明らかにした。
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〔雑誌論文〕 |
H.Soyama, Effect of Nozzle Geometry on a Standard Cavitation Erosion Test Using a Cavitating Jet, Wear, Vol. Vol. 297, 2013, pp.895-902. |
S.Nishimura, O.Takakuwa and H.Soyama, Similarity Law on Shedding Frequency of Cavitation Cloud Induced by a Cavitating Jet, Journal of Fluid Science and Technology, Vol. 7, 2013, pp. 405-420. |
O.Takakuwa, K.Yamamiya and H.Soyama, An Indicator for the Suppression of Fatigue Crack Growth by Hybrid Peening, Journal of Solid Mechanics and Materials Engineering, Vol. 7, 2013, pp.357-371.
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O.Takakuwa, Yusuke Kawaragi and H.Soyama, Estimation of the Yield Stress of Stainless Steel from the Vickers Hardness Taking Account of the Residual Stress, Journal of Surface Engineered Materials and Technology, 2013.
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〔学会発表〕 |
祖山 均, 実験式によるキャビテーション噴流の加工能力の推定, 日本混相流学会年会講演会2012, 2012年8月11日, 千葉県柏市. |
H. Soyama,Power Law of Injection Pressure and Nozzle Diameter on Aggressive Intensity of a Cavitating Jet,21st International Conference on Water Jetting,2012年9月19日,カナダオタワ. |
H. Soyama, O. Takakuwa and A. Naito,Effect of Nozzle Shape for High Injection Pressure on Aggressivity of Cavitating Jet,21st International Conference on Water Jetting,2012年9月20日,カナダオタワ. |
高桑 脩,祖山 均,生体材料用チタン合金へのキャビテーション噴流の適用,キャビテーションに関するシンポジウム(第16回),2012年11月24日,石川県野々市. |
祖山 均,宮坂 晃輔,キャビテーション噴流における発光スポットの分光分析,2012年度ウォータージェット技術年次報告会,2013年1月25日,仙 台. |
高桑 脩,祖山 均,気中キャビテーション噴流によるステンレス鋼の水素脆化抑止,2012年度ウォータージェット技術年次報告会,2013年1月25日,仙 台. |
左奈田 一将,高桑 脩,祖山 均,ステンレス鋼の下限界応力拡大係数範囲に及ぼすキャビテーションピーニングの影響,日本機械学会東北支部第48期総会・講演会,2013年3月15日,仙 台. |
眞野 優太,高桑 脩,祖山 均,ステンレス鋼表面層の降伏応力における水素侵入の影響,日本機械学会東北支部第48期総会・講演会,2013年3月15日,仙 台. |
西村 怜,祖山 均,キャビテーション噴流の加工能力におけるノズル上流部形状の影響,日本機械学会東北支部第48期総会・講演会,2013年3月15日,仙 台. |
祖山 均,内藤 暁馬,キャビテーション噴流の加工能力の計測法の比較検討,日本機械学会東北支部第48期総会・講演会,2013年3月15日,仙 台. |
高桑 脩,左奈田 一将,祖山 均,荷重制御式平面曲げ疲労試験による表面改質層の下限界応力拡大係数範囲の定量的評価,日本材料学会第62期通常総会・学術講演会,2013年5月18日,東 京. |
高桑 脩, A.S.Gill, S.R.Mannava, V.K.Vasudevan, 祖山 均,キャビテーションピーニングによる脊椎固定用インプラントチタンロッドTi-6Al-4Vへの圧縮残留応力の導入,ショットピーニング技術協会平成25年度学術講演会,2013年5月23日,東 京. |