Molten salt Flibe blanket- 溶融塩Flibeブランケット


Page 1 : 核融合炉の液体ブランケット

Page 2 : 溶融塩Flibeブランケット
Page 3 : 高温溶融塩実験ループ・電気分解実験
Page 4 : 高プラントル流体の熱伝達促実験
Page 5 : 電磁流体の数値解析法の開発
Page 6 : 新型溶融塩冷却材Flibe+Cs, Iの開発


このページの内容は、液体Li/V合金ブランケットのPage 1の内容と同じです。
液体Li/V合金ブランケットのPage 1を御覧になた方はPage 2から御覧になってください。

核融合炉ブランケット

核融合炉では以下の反応が第一候補として考えられています。
D + T → 4He (3.52 MeV) + n (14.06 MeV) + 17.58 MeV

D(重水素)は自然界(海水)に多量に存在しますが、T(トリチウム・三重水素)は自然界には存在しないため、 人工的に生成する必要があります。 そこで、以下のようにリチウムと反応させることによりトリチウムを生成します。
6Li + n → T +4He + 4.8 MeV
7Li + n → T +4He + n − 2.5 MeV

また、通常は、燃料(トリチウム)の増殖率を上げるために、以下の中性子増倍反応を用います。
9Be + n → 2n + 24He − 2.5MeV

以上のことから炉心プラズマの周りに燃料増殖材であるLiや中性子増倍材であるBeなどを含む構造を配置し、 燃料(トリチウム)を増殖して、炉心に戻すことで、核融合炉の連続運転をすることができます。 このLiを含む構造体がブランケットです。 核融合反応で発生した中性子はブランケット内でLiに衝突し、トリチウム生成反応を起こします。 また、ブランケット内で中性子は運動エネルギーを失い、そのエネルギーが熱エネルギーに変換されます。 この熱エネルギーを利用して、核融合炉では発電を行います。 このようにブランケットには、燃料増殖、放射線の遮蔽、冷却(熱エネルギーの輸送)といった役割があります。

核融合炉ブランケットの役割


液体ブランケット

ブランケットにはLiSiO4のようにリチウムの固体化合物を燃料増殖材として用いる 固体ブランケットと、液体Li、液体LiPb、溶融塩FlibeなどLiを含む液体を燃料増殖材として用いる液体ブランケット があります。 現在、日本では日本原子力研究開発機構を中心として固体ブランケットの研究開発が進められています。 しかしながら、液体ブランケットにも多くのメリットがあります。

では、液体ブランケットにはどんな特徴があるのでしょうか? 以下に液体ブランケットに共通した利点・欠点を書きます。

  • 利点
  • - 燃料増殖材が冷却材を兼ねるため、ブランケット構造を簡易なものにできる。
    - 燃料増殖材の定期交換が容易になる。

  • 欠点
  • - 構造材が腐食する。
    - MHD圧力損失が発生する。

    上記、欠点を解決できれば、液体ブランケットは非常に魅力のあるコンセプトです。


    MHD圧力損失

    ここでは、液体ブランケットの欠点として挙げたMHD圧力損失について説明します。
    核融合炉は高磁場での運転が想定されていますが、高磁場中で液体リチウムのような 電磁流体を流すと、流れを抑える方向に力が発生してしまいます。 この現象をMHD圧力損失と呼んでいます。

    以下の図を使って、簡単にMHD圧力損失の原理を説明します。

    MHD圧力損失


    導電性流体(液体金属など)が磁場下を流れると・・・
    1. 磁場と流れの相互作用により電流が流れる。 J = σ(U × B)
    2. 電流と磁場との相互作用により、流れと逆向きに電磁力が発生する。 F = J × B
    MHD圧力損失を防ぐには電気伝導率の低い液体増殖材を用いるか、冷却流路の壁を絶縁して磁場と流れの相互作用によって発生する電流が流路壁に流れないようにする必要があります。

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