当研究室では「分子建築」研究の一環として、マクロな建築現場で用いられる足場のイメージに近い構造要素からなるミクロな分子足場について研究しています。

即ちベンゼン環をp-位で連結した柱の軸に対してほぼ直角方向に側鎖を出すためのビルディングブロックとしてベンゾチオフェン分子を利用することを着想しました。また柱に対して斜め方向に置換基を導入するためのビルディングブロック分子としてチエノチオフェンやエチニルチオフェンも利用します。

これらのビルディングブロック分子を、順番を考慮しながらクロスカップリング反応等で連結して大きな分子足場とするものがエチニルチエニルアレーン連結系（ETAr連結系）の考え方^[1]です。図のETAr連結系は、極性の低い疎水性領域と極性の高い親水性領域を有する膜貫通型タンパク質にヒントを得たバイオ-インスパイアード分子デザインになっています。

[1]Kozo Toyota et al., Heterocycles, 2009, 78, 3037-3051.

Kozo Toyota et al., Bull. Chem. Soc. Jpn., 2012, 85, 613-623.

[1]Stephan, D. W. et al., Science, 2006, 314, 1124-1126.